自分が最初に読んだ森田療法の図書は、「神経質の本態と療法」(森田正馬著)でした。23歳の時。
この本を読んで驚いたのは、自分の不快な感覚がそこに明確に書かれていたことです。
「神経質者は、不快な感情にとらわれ、それに執着する。そして、そのことを気にするのでますますその感覚が鋭くなりまたその感覚に執着する。気にすることと感覚が強くなることが相互に影響しあう。これを精神交互作用と呼ぶ。精神交互作用により、とらわれから脱出できなくなる」というような内容だったと思います。今、手元のその本がないので、文章はそのままではありませんが。
この「とらわれ」という症状が明解に記載、説明されていたのに驚いたのでした。
これほどまでに、自分の精神の働きを明解に説明していることに驚き、感動しました。
さて、この「とらわれ」という症状について、その後ますますひどくなったときの精神状態についていま自分は、さらに的確な表現をすることができると思います。いかに述べる、症状は、おそらく同じ感覚を体験した、あるいはしているかたがおられるのではないでしょうか?
それは、以下のようなもので、仮にこのような症状を「蓄積された忘却想念への執着」、あるいは単に「忘却想念執着症状」とでもいおうかと思います。
1.ある想念A1が心に浮かぶ。
2.その想念A1をきっかけとして、似たような想念A2、A3、・・・が続いて浮かぶ。
3.想念の系列A1、A2、A3・・・への関心が消滅しないうちに、別の新しい想念Bが浮かぶ。
4.想念Bへの関心が高まり、Bを思考したくなる。
5.Bへの関心が高まり、想念A1の内容を忘却する。
6.Bがこころを支配する。
7.Aを想起したくなり、思いだそうとするが思い出せない。
8.Bの次の想念Cが浮かぶ。
9.Bの内容を忘却する。
10.AとBを思い出したいが、思い出せない。
11.Cが心を支配する。
このように次々と想念が連鎖していき、過去の想念を思い出したくても、思い出せないという地獄のような苦しみを味わう。
このような症状です。これは、雑念恐怖と呼ぶのでしょう。強迫観念です。
すべての神経質者の「雑念恐怖」がこれとまったく同じかどうかはわかりませんが、おそれくかなり多くの神経質者はこのような苦悶を体験しているのではないでしょうか?
あ、自分と同じだ。と思われたかた、おそらくいらっしゃると思います。
この症状と同じ多くのかたがいるとすれば、神経症状の私の理解は、体験をもとにした正しいものだという証明だと思います。
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