前回は、認知行動療法の暴露反応妨害法と森田療法の関係について述べました。
速い話が、森田が何十年も前に発見した精神の働きの仕組みを、認知行動療法は暴露反応妨害法という形に
形式を変えたものに過ぎないということでした。


さて、そこで、自分は海外での森田療法の展開についてどうなのかを知りたく若干ネットでしらべたところ、
アメリカのMorita Therapy Foundation というサイトを見つけました。どうやら、森田の価値はアメリカでも認められているらしい。ということで、このサイトを読んでみようかと思いましたが、ハタと考えました。

果たして自分の読者はそれを望んでいるのだろうか?

たぶん、読者には強迫神経症に苦しんでいるかたが多いのではないか?
すると、そういう話題より、どうしたら治せるのか?
という話題のほうがいいのではないかと思いました。

ということで、今回は、「どうしたら治せるのか?強迫神経症」という題で書いていこうと思います。

さて、

強迫神経症は、どうしたら治せるのか?

簡単に言えば、入院森田療法を受ければいい、となってしまいますが、それでは簡単すぎます。
実際、私の適切だと思う回答は、そうなのですが、そこには、

ちゃんとした入院森田療法を行っている病院はあるのか?
入院費用は用意できるのか?
仕事は休めるのか、学校は休めるのか?

といった、身に迫る問題があります。そこで、ここでは、入院しないで、自力で治す方法について書いていこうと考えました。

しかし、自力で治せる病態の範囲は限界があると思います。重症のものはやはり入院を検討していただいたほうがいいという前提で、以下参考にしてください。

そうはいっても、私には、外来森田療法と称する、間違った森田療法の治療者がやっている指導よりも、ずっと質のよい助言ができるという自信があります。実際強迫神経症を体験した者として、そう思っています。

さて、治すにはどうすればいいか?


まず、肝心なこと。

1.森田療法を正しく理解する。

です。そのためには、少々読みづらくても、森田正馬先生が書いた本を読むか、ないしは、鈴木知準先生が書いた本、水谷啓二氏が書いた本で、森田療法の説明を読んでください。

私としては、神経質の本態と療法、神経衰弱と強迫観念の根治法をお薦めします。
いずれも、森田先生の著書です。

次に。

2.森田的生活態度を実行すること。


これは、苦しい症状があっても、それをもちながら現実の生活を、仕事なり勉強なりを続けること。

重症な場合は、これができません。それがまったくできないなら、自分は入院が必要だと考えるべきと思います。

そして、現実の生活で大事なことは、身体の「動き」です。

これは鈴木知準先生がよく言っていました。「動き」の中に自由があると。

たとえば、朝、身支度をするとき、なるべく素早い動作で、動きます。
そのとき、どうしたら短い時間で効率的に終わらせることができるかに集中して動きます。

鈴木診療所では、風呂に入る時間が15分以内ときまっており、その時間内で、少ないお湯と水を使い体を洗い終えます。

そのような動作に工夫することに集中すれば、神経症の不快な感情から離れることができていくようになります。

また、嫌なこと、嫌いなことを進んでするようにします。

たとえば、便所掃除。雑巾を持ち、素手で洗います。
鈴木先生が言っていました。「○○医師がよくいうのだが、嫌なことをやらせると、神経症はどうしてよくなるんだろうと言うが、私もそう思う」と。

確かにそうなのです。嫌なことをすると、あとでスッキリした頭になります。
やってみてください。

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また、これは鈴木診療所ではありませんでしたが、本の朗読もいいのではないかと思います。
森田先生の本には書いてあります。

この場合、本はあまり考え込まないで読めるようなものがいいかと思います。
物語的なもの、歴史の本などがいいような気がします。
数学や科学の難しい理屈の説明した本はさけたほうがいいように思います。
読むときはしっかりした大きい声で読んでください。

あと、これは自分がだけによいことかもしれませんが、カラオケもいいように感じます。
この場合、漠然と歌うのではなく、うまく歌うにはどうしたらいいかの工夫をしながら
歌う方がいいでしょう。気晴らし的に歌うのは逆効果だと思います。
森田先生は、歌などの気晴らしを禁止していますので。

写経をすることもいいようです。この場合、字をきれいにかくことに集中します。

ということで、なるべく、いやなことをする、速い動きをする、発声を伴う読書や歌を歌う。できるだけ工夫のやりかたに気をくばってやってください。

すべて、動作です。速い動作を工夫しながらやっていきます。
(注)カラオケは適切なテンポというものがあるので、速ければいいというものではありません。 

そして、

3.規則正しい生活を心がける。


です。これは大事です。

森田療法は、作業療法です。治療理論を理解するのではありません。

暴露反応妨害法のように意図的に、恐怖体験のきっかけを用意しなくても生活の中で自然と恐怖体験がきます。そのときにも、いまやろうとしている作業を止めることなく続けるのです。

このような作業を継続してやっていれば、しだいに、「あるがまま」の態度を体得できるようになるかと思います。


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