真の森田療法を追究する

森田療法とは、強迫観念/強迫行為、対人恐怖症、不安神経症、鬱病などの神経症を治療するための精神療法で、日本の故森田正馬博士が創始した治療方法です。近年、日本では広まってきましたが、必ずしもすべての精神科医師や臨床心理士が森田療法を正しく理解して実施しているとはいい難いと思われるので、実際、森田療法によって、対人恐怖症と強迫観念を乗り越えた自分が、専門家の誤りを指摘し、正しい森田療法を広めるために、このブログを立ち上げました。

強迫神経症は自力で治せる?


前回は、ある森田療法の専門家が、森田療法の本質も、強迫神経症の特質もわかっていないと指摘させていただきました。

間違った説明の森田療法専門家の動画↓


その専門家は、外来森田療法と称して、単なる説得療法を行っているにすぎないと思います。

説得の内容が、いくら森田理論でも、結局それは森田療法ではありえなく、説得にすぎません。
しかし、この動画の内容の治療方法は、森田理論でさえなく、普通の心理的説得だと思います。

さて、本来の森田療法は、

 第一期、絶對臥蓐。
 第二期、徐々に輕き作業。
 第三期、稍重き身體的精神的勞作。
 第四期、不規則生活による訓練。
 
を行う、絶對臥蓐~作業療法です。第一期~第三期は、外界と隔離された遮断の環境で行われます。
各期は、一週間程度です。

それで、要するに、「あるがまま」の態度を体験体得させるということに要点があります。

重要なことは、「あるがまま」の心的態度を体験・体得させるということです。

自分は、森田正馬の著者を読んで、大いに救われた感じがして、この本を理解して「あるがまま」を実践すれば、強迫神経症は治るものと思い込み、ひたすら、念仏のように「あるがまま、あるがまま・・・」と念じ続けました。しかし、治りません。畢竟、それは、あるがままになろうとする感情コントロールにすぎないからです。

そして、鈴木知準先生の診療所に入院して、「あるがまま」を体得できるようになったのです。

さて、ここで、森田理論の著書を読んだだけで、重症な強迫神経症などが自力で治せるのか?

という問題があります。私は、それはかなり難しいと考えています。

しかし、世の中には凄い方がいるもので、自力で治した人がいるんですね。

ある日、「誰にもいえないこと」に襲われる 著者:佐藤条二氏

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を読みました。この著者は、13歳のころから、約8年間強迫観念に苦しめられ、大学受験に失敗して無為の人となりかけていたが、禅と森田療法に出会い、受験勉強を「作業療法」として利用して強迫観念を自力で克服し、東大受験に再挑戦、合格して自分の納得にいく人生を勝ち取りました。

いや~、凄いです。凄い人。勉強ノイローゼとよく言われますが、その勉強を必死にやることがむしろ強迫観念の治療になったのですから。このようなやけっぱちの勉強による奮闘で森田正馬自身も神経症を治しています。
著者は、がむしゃらの受験勉強で、「あるがまま」を体得されたようです。

佐藤条二氏の本、文章も優れ、「生きる」ことの意味、頑張ることの意味をたいへん力強く感じ、感動しました。

現在、神経症に悩んでいるかたには、一読を強くお奨めしたいです。

自分は、もう還暦を過ぎていますが、また、今後の人生を力強く生きて行こうというエネルギーをもらいました。

佐藤条二さんに深く感謝申し上げます。

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森田療法と強迫神経症の本質をわかっていない専門家


昨日は、強迫行為の心理について説明しました。

強迫行為をするのは、気持ちがいい感覚・気分を求めてするのだということを言いました。しかし、感覚・気分は意思で創れるものでないので、感覚・気分を創ろうと追究すると、かえってそれができず、ますます強迫観念が強くなります。

人は、

考える ==>> 行動する ==>> 感じる

という行動パターンを踏むのが自然です。

考える ==>> 感じる ==>> 行動する

としようとするのが、強迫神経症の人のやりかたです。

そのような、行動パターンは、強迫神経症を起こします。

こういう基本的な、森田理論をわかってない専門家が、います。

名指しで大変申し訳ないのですが、以下の「強迫性障害に対する森田療法」と題するセミナーの講演者、法政大学現代福祉学部教授 久保田幹子氏の講演内容を検討してみたいと思います。

このセミナーは、東京慈恵会医科大学森田療法センターで、2010年ごろ行われたようです。

このセミナーで、久保田氏は、強迫神経症の人はどういう風に心がけて不安と付き合うか?を説明しています。

その要点は、次の5点です。

1.不安になったら、一拍おくこと
2.時間を物差しにする
3.不安が空想か現実かをわけること。
4.疑いながら進んでみる(あいまいな自分を信じる)
5.感じることから、出発すること。

1について。

久保田氏は、不安が起きたら、すぐに不安を取り除こうとしないで一拍おいて様子をみなさい、と言っています。
これは、割合によく言われる助言だと思います。しかし、重度の強迫神経症では、それはなかなか難しいのです。一拍おけという、行動を指示しているという意味では比較的よい助言かもしれません。


2について。
患者は時間の感覚がなくなっていて、本人は時間を意識していない。時間を物差しにして時間経過を意識して
考えることから脱出するきっかけにしなさい、と言っています。
しかし、強迫行為の人は、時間は意識しています。だから、苦しいのです。時間を物差しにして一定時間たったら考えることをやめなさいという説得のようですが、そんなことしたいけどできないのが強迫神経症なんです。

3について。

不安が空想か現実かをわけなさい、と言っています。想像上の不安はわきにおいて、想像か現実かをわけなさい、と言っている。患者の心理をまったくわかっていません。患者は、不安を現実と思っています。ただ、可能性としては小さいことはわかっています。しかし、可能性が小さくても不安は現実にあるのです。
まくらことばに「もしも」がつけば、いま考えなくてよいと説得しています。説得は無意味なのです。

4について。

100%の完全を求めるから自分が信じられなくなる(そのとおり)。脱出するためには、かすかなあいまいな自分を信じなさい、という説得。それができれば、すでに正常人です。できないから、強迫神経症。そのような説得は無力です。

5について。

患者は感じることを置き去りにしていて、感じるというものがまったく使えていない。(そのとおり、それが病気)
相当疲れているのに、疲労感を忘れている。そんなことはないです。疲労感を覚えている、だから苦しいのです。
情けないことを実感して、ブレーキをかけなさいと言っていますが、情けないことは実感しています、だから苦しいのです。感じたことを次の行動の出発点にできるのは、正常人。それができないから、病気。

まあ、なんて当たり前のことを言うんでしょうね。全部、正常人にはできることですが、強迫神経症者にはできないことです。

個人的に批判して申し訳ありませんが、久保田幹子氏は、強迫神経症という病気をまったく理解していないと私は思いました。この人、臨床心理士なんですが、いったい何人の人を治してあげられたのでしょうか?

久保田氏は、東京慈恵会医科大学森田療法センターのスタッフです。残念ですね。

久保田氏のように、単なる説得療法になってしまっている森田療法治療者は結構いらっしゃるように感じます。

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この動画は、こちらです。


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強迫神経症の心理、気分本位


先日、忘却想念執着症状について、ご説明しました。その説明文を再掲します。

1.ある想念A1が心に浮かぶ。
2.その想念A1をきっかけとして、似たような想念A2、A3、・・・が続いて浮かぶ。
3.想念の系列A1、A2、A3・・・への関心が消滅しないうちに、別の新しい想念Bが浮かぶ。
4.想念Bへの関心が高まり、Bを思考したくなる。
5.Bへの関心が高まり、想念A1の内容を忘却する。
6.Bがこころを支配する。
7.Aを想起したくなり、思いだそうとするが思い出せない。
8.Bの次の想念Cが浮かぶ。
9.Bの内容を忘却する。
10.AとBを思い出したいが、思い出せない。
11.Cが心を支配する。


このように次々と想念が連鎖していき、過去の想念を思い出したくても、思い出せないという地獄のような苦しみを味わう。

さて、ほかの強迫行為も含めて、このような強迫症状はどのような心理でなされるのでしょうか?

忘却想念執着症状では、過去の想念にとらわれて「思い出したい」ので繰り返し思い出そうとする。
では、思い出してどうするのか? それはこうです。
想念を思い出して、その想念を気持ちよく感じたいのです。つまり、想念を気持ちよく感じようということを意思で制御しようとする。森田正馬は、これを神経質者の「気分本位」と言っています。
いい気分を追究しようとする。それが神経質者の特徴です。いい気分を創ろうとすればするほど、いい気分はなくなります。

不潔恐怖の手洗い行為はなぜ、繰り返すのか?
洗ってもきれいになっていないと思うのはなぜか?
それも、洗ったあとのすっきりした感覚を求めているのです。しかし、すっきりした感じがしないので手洗い行為を繰り返し、意思で「すっきり感」を創ろうとするのです。
必ずしも「汚いという恐怖そのもの」から手洗いを繰り返すわけではないと思うのですがどうでしょうか?>不潔恐怖のみなさん?

正常なひとなら、一度手を洗うと「すっきり感」を直感的に味わえて、何回もあらうことはしませんが、不潔恐怖のひとは、その直感的な感覚を疑ってしまいます。そこに思考が介入し、直感的なすっきり感がボケてきます。ボケると、ますます気に入らず、何回も洗うことになるのでしょう。
ガスや火の元、戸締りの確認の強迫行為もそうです。戸締りをしたときの、「気持ちいい鍵のかかった感覚」を追い求めてしまうのが、確認恐怖です。何回やっても、しっかりとした感覚が感じられないのが不満で行為を繰り返します。

意思や思考で「感情・感覚は作れない」のです。感情は意思でコントロールできない、と森田は言っています。
 
強迫行為の心理には、常に、この「いい気分を追究する心理」があると思いますが、いかがでしょうか?

森田正馬は、この気分本位を戒めています。気分本位ではなく、事実本位でなくてはいけないと。

それで、強迫行為をやめるために、直感的感覚から出発して行動しなさいという人(治療者)がいます。

そういっても、直感的感覚で、「すっきり感で満足できない」のが強迫行為の人なんですから、このような説得はなにも意味がありません。

前にも言いましたように、森田理論を説得しても何も治療効果がありません。
(今書いているこの記事は、説得しているのではありません。心理の説明です。) 

強迫行為の治療をするなら、本を音読させるとか、なにか具体的に行動をさせるとか、行動を指示するほうが効果があると思います。

外来森田療法はありえないと思いますが、外来で、このように行動を指示するなら、「森田的治療」と言えるかもしれません。

浜松医大の星野良一医師は、外来患者に目前で本を朗読させたと言っていました。

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